2000㌔を旅する不思議なチョウ アサギマダラ
春と秋、香川に飛来 アサギマダラって?
アサギマダラは、羽を広げた大きさが10㌢弱のチョウ。模様や色が美しく、白く見える部分が「あさぎ色」であることが名前の由来だそう。最大の特徴は、総距離2000㌔といわれる“渡り”で、日本列島を春に北上、秋に南下。さらに、夏には標高1000㍍の高地でさまようことも分かっていますが、実際の移動の全容や、渡りの理由など多くが不明。そんな謎を秘めた生態も、多くの人を引き付ける魅力の一つ。愛好家が構成する組織は、全国にいくつかあり、個体にマーキングするなど、調査を行っています。 また、アサギマダラは、成長のために、特定の植物の蜜を摂取するチョウ。中でもよく知られているのが、開花が秋のフジバカマと、春のスナビキソウ。スナビキソウは、「昔はどこにでもあった海浜植物ですが、現在は希少。瀬戸内海では、有明浜と粟島、淡路島の一部くらいしかないといわれています」と、「有明浜の海浜植物を観察する会」会長・小西武利さん。大分県の国東半島沖にある姫島が、飛来地としては有名だそうです。
個体にマーキング
好物を増やして、待っています 三豊市で広がる取り組み
小西さんがその存在を知ったのは、2014年。有明浜でチョウを捕まえている観光客に話しかけたところ、「有明浜が、飛来地として愛好家の間では有名だと知りました。長年植物の観察をしているのに、チョウは意識していなかった」と振り返ります。数カ月して、県外の視察グループを有明浜に案内した際、アサギマダラの話題を取り上げていると、「目の前に本物がヒラヒラと!そこにいた全員が興奮し、写真に収めました。この劇的な初対面が活動のきっかけ」。 翌年6月、試しに、伊吹島の休耕田にフジバカマ350株を植えてみたところ、秋に飛来を確認。さらにその次の年は700株を植え、瀬戸内国際芸術祭に訪れた人の目も楽しませたそう。その活動は、島内の小中学校をはじめ、三豊市内の小学校にも広がり、子どもたちが環境整備のほか観察、マーキングなどを行っています。
伊吹小中学校でのふるさと学習発表会
10月は伊吹島へ見に行ってみよう
例年、10月初旬~下旬、観音寺市の伊吹島で見られるアサギマダラ。小西さんたちがフジバカマを植えた畑は、船が着く港から歩いて約10分。自由に見学できます。また、フジバカマは、島のあちらこちらに植えられているので、散策していればたいてい見られるそう。 「時間は、午前10時前後がおすすめ。ほかのチョウとは全然違う、優雅な飛び方をぜひ見てほしい。観察や写真を撮るために近づいても、逃げないところも、たまらん魅力」と目を細めていました。
問い合わせは ☎ 090(7629)4183小西さん。
スナビキソウを観察する子どもたち